News>2010.06.04

 

【寄稿】ITmedia”イノベーションコンセプト入門”  第5回「どのように提供するか」を実現させる

 

ITmedia エグゼクティブにおいて、「イノベーションコンセプト入門」の第5回を掲載しました。

イノベーションコンセプト入門:第5回「どのように提供するか」を実現させる

「どのように提供するか」とは、事業を差別化する要因でもあり、実行に移すための仕組みとなります。

 

<以下掲載文章抜粋>

 

「誰に」「何を」提供するかめどがついたら、「どのように提供するか」を考えます。「どのように提供するか」とは、事業を差別化する要因でもあり、実行に移すための仕組みとなります。具体的には販売チャネル別や市場別に提携パートナーの組み合わせやネットやソーシャルメディアの活用を考えることです。

 優れたイノベーションコンセプトとは、ゼロベースで新しいもの生み出すよりも、往々にして既存の製品サービスと提供の仕組みの組み合わせです。翌日配達を提供するアスクルの製品とは、どこでも購入できるオフィス関連用品です。ただし価値を提供する仕組みとして、オフィス用品の購入の利便性を徹底して追及しています。小売店パートナーによる代金回収やオンラインショッピングの使いやすさ、オンタイムな流通システム、販売アイテムの拡大などが仕組みとなります。

 ここではパートナー別やチャネル別、またはネット活用や潜在顧客別など、実行に関わる各要素に注目します。四則演算を活用して、提供する作業を足したり引いたりできないか(+/−)、はたまた分担できないか(÷)、掛け合わせられないか(×)を考えます。 

 

無料と有料(÷割り算)の提供

 最近はネット経済の新トレンドとして、無料モデル(フリーミアム)のコンセプトが注目されています。フリーミアムとは、自社製品を無料で提供することで、より大多数の潜在顧客にリーチし、評判をあげ、最終的に無料ユーザーの一部が有料サービスを利用することで(現金化:マネタイズ)、利益を生み出す仕組みとしています。

 このフリーミアムでは、基本的な製品サービスのベネフィットは無料でも有料でも大きく変わりません。ユーザーの希望に応じて、一部の拡張機能に課金したり、利用期間を拡大するのです。これは提供する「何を」変えているというより、「どのように提供するか」の方法を無料と有料で分けた(割り算)提供形態です。

 事実、PDFや圧縮ソフト、Flickerなどの写真共有サイトからLinkedinなどのコミュニティーサイトでは、利用する頻度や機能レベルに応じて、無料サービスと有料サービスに分けられています。これらの無料サービスでは、製品サービスのベネフィットを存分に味わえます。また無料であるがゆえに口コミの対象にもなり、かつ爆発的な拡大が期待できます。 iwasihta5.jpg フリーミアム概念

 おそらくフリーミアムの売り上げモデルを時系列、および無料有料ユーザー別に考えると、無料ユーザーが良質なサービス体験を得ることで、ソーシャルメディアで共有し評判が広まることで有料ユーザーが生まれる流れとなります。 

 

提携パートナーを加える(+足し算)

 製品サービスは顧客に届けられて初めて価値を生みます。顧客数が増えるにつれ、自社だけでのリソースでは限界が生じます。そこで流通チャネルにおけるパートナーや販売店との提携により、チャネルを拡大します。(+足し算)

 アスクルでは、提携小売店を自社ネットワークに取り込み、新規顧客獲得や料金回収などの業務を依頼することで、小売店からの安定的なキャッシュフローを獲得し、かつ既存の小売店との価格競争を避けました。ちなみに、アスクルは製造業の法人顧客向けに、資材の販売まで視野に入れた投資計画を直接語っています。「誰に」と「何を」を拡大することでの成長機会の獲得です。

 また自社の事業ノウハウをライセンスという形で提供することで、実サービスの提供者とノウハウの提供者というように役割を割る方法もあります。例えばマクドナルドなどのファストフードが行うフランチャイズ事業です。ハンバーガーの作り方から素材、商標から物流まで事業のノウハウを提供することで、ロイヤリティ料を獲得します。スピード散髪のQBハウスもフランチャイズ事業で拡大しました。

 次回はイノベーションコンセプトの実践ステップについて述べます。