News>2010.05.14

 

【寄稿】ITmedia”イノベーションコンセプト入門”第二回イノベーションコンセプトの重要性

 

ITmedia エグゼクティブにおいて、「イノベーションコンセプト入門」の第二回を掲載しました。

イノベーションコンセプト入門:【第2回】イノベーションコンセプトの重要性

「イノベーションコンセプト」の要素を決め、算数における四則演算(+/−/÷/×)を使い、イノベーションコンセプトを発想していくことが必要です。

 

<以下掲載文章抜粋>

 米国学者&経営コンサルタントでもあるRobert L. Katz氏は、ビジネスマンに必要な3つのスキルを定義しています。Technical skill(技術スキル)、Human Skill(ヒューマンスキル)、そしてConceptual Skill(コンセプチュアルスキル)です。技術スキルとは、業務遂行上必要なスキルで、例えば会計士が持つ財務会計に関する知識などです。ヒューマンスキルとは、同僚と信頼関係を築くコミュニケーションスキルを指します。

 役職が上がるにつれ、身につけるべきスキルがコンセプチュアルスキルです。これは顧客のニーズを理解し、ビジネスの全体像を見渡し、構造化していくスキルです。「斬新さ」と「価値ある」もののバランスをとり、仕組みを端的に討議するスキルでもあります。

 イノベーションコンセプトを理解し、活用することは、このコンセプチュアルスキルの獲得につながります。イノベーションコンセプトを明確にし、端的に語ることで関連部署や関係者を動機づけ、かつ実行に結びつけます。「誰に」「何を」「どのように提供するか」を理解し、かつ変化に応じてイノベーションコンセプトの要素を調整していくことが成果を左右します。 

イノベーションコンセプト要素を決める

 このイノベーションコンセプトの要素を決め、算数における四則演算(+/−/÷/×)を使い、イノベーションコンセプトを発想していくことが必要です。つまり各要素を足したり、引いたり、割ったり、または他の要素と掛け合わせたりすることで、他にはない、新しい価値を生み出す、イノベーションコンセプトを創り出します。以下にてイノベーションコンセプトマトリックスとします。 iwashita2.jpg イノベーションコンセプトマトリックス

 「誰を」とはターゲットとなる顧客を指します。詳細要素を足し引きしたり、掛け合わすことで、顧客の単位を設定します。法人別個人別で組織をわけ対応するオフィスメーカーやパソコンメーカー、またはクレジットカードに見られるゴールド、プラチナ、ブラックカードなどの顧客を割り込みます。(÷割り算)また顧客のみならず、サービスを利用するユーザーも考慮する場合もあります。

 「何を」とは、顧客に提供する製品サービスや便益(ベネフィット)にあたります。製品サービスでは、数多くの掛け合わせが存在します。(×掛け算)シャープペンシルとボールペンで「シャーボ」、シャンプーとリンスを合わせて「リンスインシャンプー」などです。またシャンプーであれば量を増やして業務用にしたり、1日分のシャンプーとして販売されたりもします。(+/− 足し算/引き算)

 ベネフィットとは、顧客が製品サービスを利用する目的であり、主には利便性や時間の短縮、ノウハウや低価格などの獲得が挙げられます。例えば、アスクルは、名前が示すように注文した「明日来る」オフィス用品の販売を行うワンストップショッピングであり、オフィス用品購入における利便性の提供です。また電子機器製品などのB2B分野に目を向けると、金型通販のミスミや電子部品・半導体の通販サイトを運営するチップワンストップなども、ネット販売による製品購入の利便性を提供しています。

 「どのようにして提供するか」とは、ベネフィットや製品サービスを提供する仕組みです。特にネット技術の活用や提携パートナーとの協業により、顧客へより優れた価値を届ける仕組みです。また価格面での実現性も重要なパートになります。顧客への提供価格のみならず、その価格を実現する仕組みとなります。顧客へのベネフィット(価値)を提供できるのか、が問い掛けとなります。

 アスクルの例では、小売店と提携し(+足し算)、新規顧客の開拓と料金の徴収を提携の小売店が行い、アスクルはカタログ配布や受発注、在庫などの業務に専念しています。同時にオンラインでは、法人と個人に窓口を分け、お勧め機能など、販促サービスの拡充を行っています。(+足し算)

イノベーションコンセプトの留意点

 分かりやすいイノベーションコンセプトには、いくつかの要件があります。心理学上、そもそも人間の物事を認識するメンタルモデルという心の枠組みがあります。例えば一度に認識できるのは3、4項目までとか、細目に至っては7項目に+/−2項目まで、などです。イノベーションコンセプトを顧客別や製品サービス別などのいくつかのパターンに分ける際には、主項目で3、4、詳細で10までにとどめましょう。

 またイノベーションコンセプトの発想や伝達に、ぜひ活用したいのが類推(アナロジー)です。表現したいコンセプトを、他業界や他の物事から適用して語ることです。優秀な新入社員をわが社のイチローだとか、金型通販のミスミはB2Bのアスクルモデルなど、端的な表現にあたります。

 実際のビジネスでは、シーン別にコンセプト活用の仕方が異なります。ただし、どのシーンでもイノベーションコンセプトとは、「誰に」「何を」「どのように提供するか」を端的に示したものに他なりません。

 次回からイノベーションコンセプト発想のプロセスや適用方法を見ていきます。