News>2009.01.13

 

【コラム】”起こりつつあるグローバリゼーション(その2)”

 

前回に引き続き、今回はグローバリゼーションの要素・要因について考察します。

具体的にフラット化時代は、どのような要素・要因が存在し、どのように位置づけられているのでしょうか。以下にてグローバリゼーションの要素としてヒト、モノ、金、情報を位置づけ、要素に影響を与える外部要因として、政治・経済・社会・文化・技術的な要因を位置づけます。グローバリゼーションとは、各要素が世界規模で流通することと定義します。これらの要素は国単位で、政治経済などのマクロ外部環境要因に制約をうけます。このマクロ外部環境要因を、国単位で制約をうけるハード的要因(政治や経済)と、国よりも個人として大きな影響を与えるソフト的要因(社会や文化)にわけることができます。

グローバリゼーションの要素

 

マクロ外部環境要因のハード的要因としては、前提となる制約条件として政治・経済的要因が挙げられます。これはWTO(世界貿易機関)や NAFTA(北米自由貿易協定)など、世界的な法規制や条約にモノや金の流れが左右されます。政治的要因としては、国際紛争や戦争、政治思想的な影響(共産主義や社会主義)も同様に制約事項です。経済的な影響としては、特定国同士の貿易条項や各国GDPサイズのみならず、オリンピックやワールドカップなどの世界的イベントも、短期的ではあるがヒト、モノ、金、情報の動きに影響を与えます。ちなみに、前回の北京オリンピックの経済効果として、中国政府の投資規模は過去4年間で400億USD(Businessweek Aug13,2008)であり、これは中国GDPの0.3%です。中国のGDPサイズの大きさや10%前後の成長率を加味すると、比較的小さい経済効果です。現在の中国では、2001年WTOに加盟して以来、2010年を目標に市場自由化が進められています。この市場開放を狙い、各国各産業の大手企業が中国企業との合弁会社設立など足がかりを掴みつつあります。

環境問題も新たな外部要因として脚光をあびています。京都プロトコルによる排出ガス規制の成立により、環境問題は企業にとって避けられない経営課題です。自動車や工場システム機器メーカーにとっては、排出権の売買により、売上にも繋がるため新規事業の機会ともなります。エコカーやハイブリッドカー、ブラジルに代表されるエタノールやバイオディーゼル燃料開発研究なども、世界規模で大きな影響を与えています。

特に経済においては、2009年1月現在、いまだ収まらない株安、ドル安であり、相対的な円高基調です。2007年米国サブプライムローンの破綻をきっかけに、その影響はついに大手投資銀行を破綻においこみ、新興国市場の債券株式市場にまで及んでいます。米国に流れ込んでいた世界の金が、金融危機を契機に引き上げ、他国へと動きだしている。比較的リスクマネーと縁がなかった日本金融産業が世界では見直されており、企業の資本調達の手段として株式市場から銀行の融資主体になりつつあります。

ソフト的制約条件としては、社会・文化、および技術的要因が挙げられます。人口構造による国民平均年齢の違い(特に新興国と先進国)や社会習慣の違い(イスラム教、仏教、キリスト教など)、人種の違いなどが顕著です。人口構成や価値観が異なれば将来の成長性も異なります。例えばBRICsなどの新興国では、20歳代以下の若年層が全人口の約30-40%以上あるに対し、日本の20歳代以下の人口構成比は20%以下(2007年度)であり、本格的な高齢化社会ともに今後もさらなる減少傾向が続くでしょう。平均年齢が若いということは、今後成長するのりしろが大きいということです。逆に人口が減少し、かつ高齢化する社会では、新しい働き方や産業を創生しないことには将来の成長が描けません。

グローバリゼーションの構成要素に移ると、グローバル化のコアとなる要素はヒトです。これには二つの側面があり、消費者としての“ヒト”(個人・法人)であり、生産者としての“ヒト“(個人・法人)が存在します。個人・法人が海外の情報や金、モノを受け取ると同時に、自国情報や金、モノを生産し発信していきます。メディアを通じた世界の情報やノウハウ、収斂する金融市場において、自社または自分の金融資産を新興国債権・株式市場への投資、貿易促進による海外製品・サービスの消費などが行われます。インターネット上のブログを中心とした個人の情報発信も見逃せません。

このように要素・要因にわけて考察すると、今起こりつつあるグローバリゼーションとは、“ヒト”よりも情報が大きくグローバル化し、世界規模で流通している状況です。インターネット技術やGoogleの台頭により、この傾向はますます拍車がかかる。しかしそもそもグローバリゼーションでは、中心となるべき要素は“ヒト”であり、モノ、金、情報は周辺要素です。企業にとっては、国境という単位が少なくなるなかで、さらなる人材のグローバル化が求めらるのではないでしょうか。