News>2008.11.17

 

【コラム】”金融危機の本当の要因”

 

AIGが救済され、世界的な株安が進み、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る。

かつては高い業績を誇った米国金融機関が軒並み公的資金の注入をうけ、または倒産していくことで、相対的に日本の地位が見直されつつあるのは、ある種の皮肉でもあります。結果として今まで堅実な業績しかだせなかった日本の金融機関が評価されたり、または成長機会ともされています。(野村證券のリーマンアジア事業買収など)

ここで論点を、そもそも何が要因で金融危機が起こったかに絞り考察してみます。米国の貿易赤字は2000年より累積で、3兆ドルともいわれています。特に2000年以降、イラク戦争とITブームの終焉、米国の一部の減税政策で、2006年まで米国経常赤字はGDP サイズの2-5%をさまよっています。2006年時点での米国経常収支は7,880億USDの赤字です。対して日本は、約1,700億USDの黒字、中国にいたっては2,490億USDの黒字となります。

これらの簡潔な事実を見ると、そもそも金融危機の要因はサブプライムローンの失敗ではなく、USの消費傾向や金融構造にあるのではないでしょうか。CNN記事のサブプライムローンは結果(事象)であってそもそもの要因ではない、はもっともな指摘です。

GDP比の収支バランス

 

ある記事は、経常赤字のそもそも中国の貿易黒字に要因を求める意見もあります。がしかし、米国の対中国への貿易赤字の総額がたった2,325億USD(2006年)である事実、つまり全体の赤字7880億USDの4分の1以下である事実を見ると、直接の要因とは思えません。小生は逆にこの現象は、米国の高度消費社会や消費文化とも無縁だとは思えないのです。

ある意味、中国やインドの新興国から借金をして、またはアイスランドのように金融産業が発展した国からの投資を活用して、米国は自国内の消費を続けてきたのではないでしょうか。経済の原則として、赤字だろうがなかろうが、消費しつづければ国の成長は維持されます。この赤字の中での成長は、貯蓄よりも投資を優先させる米国の資産活用傾向とも一致します。ちなみに日本の場合、総額の資産のうち半分以上が現預金などの貯金にあるといわれており、これも極端に保守的な資産活用だともいえます。

この金融危機は既に懸念事項として日本国内でもとりあげられており、2006年RIETI(The Research Institute of Economy, Trade and Industy in Japan) の記事では、見事に指摘されていました。 やはり以前からこの不健康な経済状況は確認されていました。起こるべくして起こったということでしょうか。