News>2008.08.25

 

【コラム】”グローバル市場は寡占型か分散型か?”

 

各国や各地域市場の同質化が起こることで、世界を単一市場とみるグローバル市場の出現を予見したのはマーケティングの大家、レビット氏(Theodore Levitt)です。1980年代以降、企業の積極的なのグローバル事業展開により、競合プレイヤーの寡占化と市場の収斂がおこりつつあります。それは最近のフラット化する世界に象徴されています。

とはいえ、フラット化世界であっても、産業毎にそのグローバル化の進捗や動きは異なるため、一括りにはできません。また各産業における”規模の経済”の効き方にも違いが存在します。このグローバル化の中で、いかにして自社が獲得すべき将来像を思い描き、邁進していくことが生き残りの鍵となります。

例として消費財業界としてビール業界、および産業財業界としてタイヤ業界を挙げ、2000年と2006年比較して主要プレイヤーの寡占度の変遷を見てみましょう。

グローバル市場は寡占型か分散型か?

 

意外な動きとしては、地域による嗜好性が大きく影響するビール業界で寡占化傾向があり、逆に”規模の経済”が大きなレバレッジとなるタイヤ業界では寡占化傾向が顕著ではなく、逆にTop3のシェア(2006年)が落ちている事実です。これはどのように解釈したら良いでしょうか。

ビール業界においては、M&Aを中心とした拡大戦略が主となっており、グローバル市場向けにグローバルブランド開発ではありません。またバドワイザーで有名な米国Anheuser-Busch を買収したInbevは、各地域の主要プレイヤーを買収先としています。それはブラジルのAmbevとの合併や中国でのLion Group買収、および今回の米国Anheuser-Busch にも見られます。Inbevは、Anheuser-Busch買収により、大きくブランドポートフォリオを見直す予定。(Forbes, Aug 14, 08; InBev says divestments from AB merger to focus on businesses rather than brands)このM&Aによる拡大戦略は、ビール業界における地域間の嗜好性への対応や各販売チャネル構築の手間と時間を買う、効果的な施策だといえるでしょう。

タイヤ業界においては、主要プレイヤーTop3のグローバル化と同時に、中国などの新興市場が経済的発展を遂げてきました。これは必ずしも新興国市場が攻略すべき”市場機会”になるだけではなく、新たな新興国からの”潜在的競合プレイヤー”を生み出す”脅威”にもなりえます。事実、タイヤ市場においては、GITI TireやShanghai Tireなどの中国タイヤメーカーが台頭し、既存のTop3プレイヤーの市場を驚かしています。これら新興国プレイヤーがグローバルプレイヤーの寡占化妨げている原因でもあるようです。

いずれの産業にせよ、グローバル市場構造の特徴を抑え、自社の将来像を俯瞰することが戦略立案の鍵となります。年に一度は問いかけて行きたいテーマです。