News>2008.07.29

 

【コラム】”日本携帯端末市場は成熟期か? - Is market matured ?-”

 

時間軸から製品と事業のライフサイクルを見ることにより、事業創業期、または製品導入期、成長期、成熟期、衰退期にわける製品・事業ライフサイクル(Product/Industry lifecycle)。このフレームワークは外部環境分析の基礎となる反面、明確なサイクルの基準がないため、当該産業がどのサイクルにいるのか、わかりにくいのが欠点です。

現実の製品・事業ライフサイクルでは、他社・自社の新製品・革新的サービスの市場投入により、サイクル自体が長くなったり、新規製品の登場により新しい業界ライフサイクルが形成されたりします。

では日本国内の携帯端末市場は、本当に成熟期なのでしょうか?

日本携帯端末市場は成熟期か?

JEITAのPRを見ると、2008年3月の日本国内携帯出荷台数は、前年同月比で94.8%のマイナスとなりました。ただし2007年通期の出荷台数では5160万7千台となり前年度を上回りました。(携帯出荷は前年同月比マイナス、2007年度累計は前年を上回る――JEITA 3月出荷台数、ITMedia、2008年5月14日)

次に携帯端末の普及度を他国と比較して見てみましょう。ITUを参照。 Photo 普及度(各国100人あたりの携帯端末の浸透度)20を導入期から成長期への転換点とし、70を成熟期とした、各国の携帯市場ライフサイクルです。確かにこのフレームワークでみると、日本は完全に成熟期に入っています。成長期真っ只中にある中国や他のアジア先進国が成長期となり、および衰退期となる?香港、イタリアでしょうか。

とはいえ全く正反対の見方もあります。例えばEmobileの社長のコメントです。(”日本の携帯市場はまだ飽和などしていない” IT Media, 2008年02月26日)日本の携帯市場成長は鈍化しているが、まだ増え続けています。コメントでは、イタリアや香港、ルクセンブルクの例あげ、まだまだ携帯市場は伸びることを事業の前提としています。

では本当にイタリア、香港のレベルまで普及度は伸びるのでしょうか。例えばイタリアの場合は、実際に利用されている携帯端末の数ではなく、SIMカードの数が計上されており、数字が誇張されているとの報道があります。(ITU reveals Europe's highest mobile phone penetration, Telecomworldwide Oct 17, 2005) 同じSIMカードを複数の携帯端末で使う傾向があり、必ずしも一人一台以上の携帯を所持しているわけではなさそうです。またルクセンブルクや香港など、地域のハブとなる小国では人の出入りが多いことから、一台以上所有しているともいえそうです。使い方としては、国内向け携帯と国外向け携帯でしょうか。

上記の各国事情から日本市場の将来を推察すると、ルクセンブルクや香港のように、日本がアジアでのハブ(拠点)となり、人の出入りが爆発的に増えない限り、100を超える成長を見込むのは難しそうです。とはいえ新技術や新製品が出て(例えばインターネットマシンとしてのiPhoneのような)、市場の定義が変わることでさらなる成長を促すこともありえます。または新しい使い方の提案(例えば国内と国外向け、通話向けとインターネットマシン向けといったような感じの使い分け方)が生まれないとも限りません。

携帯産業が成熟期か成長期かの判断は、将来の業界図の洞察とその視点によります。まとめると、業界としては成熟期に差し掛かりますが、革新的な製品・サービス投入による伸びしろはあるのでしょう。